前々から登ってみたいと思いつつ、なかなかその機会がなくて登れなかった「戸隠山」。今回お天気が良さそううなので、急きょ予定を立てて登ることにしました。
白馬から戸隠までは約40kmですが、カープの多い山道を走りますので、1時間ちょっとかかります。戸隠に着いてからまず鏡池に写真を撮りにいったのですが、カメラマンの多さにびっくり
池の周囲は三脚で埋め尽くされていました。さすが紅葉のスポットだけあります。
鏡池から奥社入口の駐車場に車を移動して、身支度を整えたあといよいよ登山開始。落ち葉がふりそそぐ長い参道を歩いて、まずは戸隠神社奥社を目指します。その先戸隠山への登山道は、奥社手前を左に入ったところにありました。登山届はここで提出できます。
奥社から急登が続きます。紅葉した木々を眺めながらぐんぐんと高度を上げ、百間長屋の岩の下で小休止。正面に飯縄山が綺麗に見えます。
百間長屋から先は岩場・クサリ場が連続して出てきて、長い岩尾根を登りきったところに最大の難所「蟻の戸渡り」が出てきました。
この蟻の戸渡り、両側がスパッと切れ落ちたナイフリッジで幅はわずか50センチほどしかなく、特に西岳方面(左側)は百数十メートルの断崖絶壁で、高度感ありあり。つい先日奥穂−ジャンダルム間の馬ノ背を歩きましたが、馬ノ背に匹敵する、いやそれ以上の場所で、もし滑落すれば命の補償はありません。
リッジ上にはクサリはなく、リングボルトが数本あるのみ。ザイルがあれば確保して通過するのが一番安全ですが、ザイルがなければ頼りになるのは自分の手と足だけ。四つんばいや馬乗りで通過するという方法もありますが、恐怖に感じるようならば無理して渡らず撤退も考えた方がいいと思います。それほどの場所です。
蟻の戸渡りを迂回するルートはありませんが、戸渡りの途中で右下に下降できる所があります。一度下降して登ったところが剣の刃渡りで、ここは幅10センチほどしかありません。この上を歩いて渡るのはほとんど無理だと思います。私達は刃渡りの左側にある狭いステップに足を置いてなんとか通過しました。
難所をクリアすれば、ピーク(八方睨み)はもうすぐ。八方睨みはその名の通り眺めの素晴らしい場所で、西岳の両側に北アルプスの山並みが広がり、北には高妻山、妙高山、黒姫山を見渡すことができます。
八方睨みから10分ほど北上すると、そこが戸隠山のピーク。山頂部分は数人が休憩できるだけの狭いスペースです。ここで高妻山を眺めながら、パンを食べました。高妻山は、白馬から見ると乙妻山と連なって台形状に見えるのですが、戸隠山から見ると三角錐の綺麗な形をした山です。
戸隠山から先は小刻みなアップダウンが連続する稜線で、右側(飯縄山側)は断崖絶壁。登山道が断崖の縁を通る場所もあり、さえぎるものがないので眺めは最高ですが、お腹のあたりがモゾモゾしてしまいます。それでもついつい覗き込んでしまいます。眼下には戸隠山の広い裾野が広がっていて、紅葉した木々がとても美しく見えました。奥社や参道脇の杉並木、鏡池、怖い思いをした蟻の戸渡りもよく見えました。
一不動の避難小屋にある分岐から進路を右にとります。氷清水の水場から先は登山道に水が流れ、やがて沢になり、その沢を縫うようにして登山道が延びてました。
下山口は広大な戸隠牧場で、振り返ると戸隠山がそそり立ってました。牧場入口にあるお店で生乳ソフトクリームを食べ(濃厚ですごく美味しい)、そのあと遊歩道を30分ほど歩いて奥社入口に戻りました。
戸隠山は山容や登山道の様子が妙義山によく似ています。眺めがよくてスリリングな岩場もありますし、特にこの時期は紅葉がとても綺麗で、暑くもなく寒くもなく登山をするにはちょうどいい気候でした。戸隠山に登るなら秋がお勧めです。