今シーズン最後のあぎ登山ツアーは、降雪直後の立山へ向かいました。
今回ツアーに参加していただいたのは柳澤さん。6月の白馬岳、8月の槍ヶ岳に続き、今年3回目のツアー参加です。当初は五竜岳へ登る予定をしていましたが、入山予定日である10月20日の天気が大荒れになる可能性がありましたので、急きょ入山日を一日遅らせ、さらに積雪の予測や難易度、営業している山小屋の有無などから、コースを立山に変更しました。
初日は扇沢から立山黒部アルペンルートを利用しました。トローリーバスやロープウェイを乗り継ぐこと約2時間で室堂に到着。階段を駆け上がり表に出てみると、一面銀世界が広がってました。天気は雲ひとつない快晴。最高のコンディションです。
身支度を整えたあと室堂を出発。室堂周辺の積雪は10cm。フワフワした新雪の感触を楽しみながら、みくりが池を経由して雷鳥荘まで歩いて小休止。目の前には真っ白な雷鳥坂が見えます。一見するとスキーができるかも、と思えるほどですが、よく見てみるとハイマツや岩が顔を出しています。立山でスキーをするにはあと数回の雪が必要ですね。
雷鳥坂を登り高度を上げると、積雪量も増えてきました。吹き溜まりで50cm以上あります。雪に埋もれた足の持ち上げに労力を使いながら、ほぼコースタイムで剱御前小屋に到着。剱御前小屋からは、雪を抱いた剱岳が真正面に見えます。それにしても剱はかっこいい山だ。惚れ惚れしてしまいます。
剱御前小屋の宿泊は全部で4人。支配人の方を含め、小屋の人達にはとても親切にしていただきました。小屋前からは富山平野側に沈む夕陽や、朝夕赤く染まる剱岳が一望できて、ロケーションとしては最高の場所です。また機会があれば泊まってみたい山小屋です。
2日目、今日は別山を経由して立山を目指します。天気は昨日に引き続き快晴、ただし風が少し強めです。朝から強烈な冷え込みで、小屋前はツルンツルンのアイスバーン状態。12本爪アイゼンを装着してから剱御前小屋を出発。左手に剱岳を見ながら、別山を目指します。
稜線はフワフワした新雪の部分とガチガチのアイスバーンの部分が交互に現れてきました。積雪の少ないところは岩や石が露出しているため、アイゼンをひっかけないように慎重に足を運びながら進んでいきました。剱御前から真砂岳までは稜線が広いので比較的安全に歩けます。積雪が少ないため雪庇の張り出しもほとんどありません。
真砂岳から富士ノ折立への登りでは、風が強く吹きつけて飛ばされた雪が顔に当たり始め、寒さと痛さに耐えながらの登山になりました。このあと雄山でもそうでしたが、山頂周辺は他よりも風が強く当たってきました。おそらく真冬はこんなものではないでしょうけど。
剱御前から大汝山まで誰にも会わなかったのですが、雄山から先では十数人の人達とすれ違いました。ほとんどは雄山日帰りの登山者です。ただ装備をよく見ると、アイゼンなしで登ってきてる人もいましたし、登山靴ではなく運動靴の人もいました。今日は天気が崩れないので大丈夫だと思いますが、この時期天気が荒れると冬と変わらないようになります。昔10月の立山で大量遭難事故がありましたが、それも軽装で登られてきた方が被害にあわれました。アルペンルートで簡単に高所まで移動できますが、登る山は3000m峰です。そのことをお忘れなく。
室堂まで下山すると、人が増えてきました。みんな新雪の立山を楽しむように、雪の上を歩いたり記念写真を撮ったり。さらにアルペンルートの乗り場へ行くと、まるで都会の駅にいるような人混みです。ほとんどが団体旅行の人達で、特に韓国から来られてる方が目立ってました。登山やスキーを含め、ここ最近の韓国パワーはすごいです。今後ますます増えそうな感じです。
今回は思わぬ形で冬山体験となりましたが、参加していただいた柳澤さんも大満足の様子でした。
これをもちまして、今シーズンの登山ツアーは全て無事に終了いたしました。ツアーに参加していただいた皆様、ありがとうございました。私自身、どれも印象に残る山旅でした。また来シーズンもいろいろ企画したいと思います。